昔の話2

会社に行けなくなった私の異変を上司が気にし、ある日帰ろうとしていた所を呼び止められました。誰かに「どうかしたの?何かあったの?」と聞かれることは何度かあったけど、会社の人を信じる事が出来なくなっていた私は一貫してだんまりを決め込んでいたので、隠しているつもりではいたのですがやはり薄々原因を気付かれてはいたようで

「(リーダー)さんのことだよね?」

開口一番、言われました。既に仕事に支障も出始めていて、リーダーに直接この話がいってしまったら更に恐ろしい事態になるんじゃないかとすら恐れました。そうなると隠し通していても仕方ないと思い、渋々話しました。話してる間にぼろぼろ涙が出てきて、泣きたい訳じゃないのに勝手に涙が出て止まらないなんて事があるんだと内心驚きました。人前で泣いたり、ましてや相談なんかしたら甘えてると言われると思っていたのに上司の対応は優しくて丁寧で、困惑しました。人前で泣くことはズルいことだと、自己嫌悪に陥りました。

 

私は、会社での出来事をお母さんに相談する事をしませんでした。話した所で返ってくる言葉は「そんなのどこに行ったって一緒だよ」の一点張りだということが今までの経験談で分かっていたからです。話を聞いてほしい、気持ちとしてはそれだけでも、打ち明けたものをシャットアウトして跳ね返されるのはとてもつらいものがあるし、話すこと自体に疲れてしまうのが嫌で、これ以上余計な精神疲労を重ねたくなくてずっと一人で抱えていました。

 

お姉ちゃんは同じ家には住んでいますが食事を共にする事が無くなり、同じ時間を過ごす事も少なくなり、お互いにどんな現状なのか、今は何が好きで何が嫌いで、必要最低限の会話しか交わさないような、何も把握していない状態でした。

 

会社でのいざこざを解決出来ないまま数ヶ月経ち、ある日お姉ちゃんと出掛ける機会がありました。

その際に姉から言われた言葉は、私にとって青天の霹靂でした。

「あのさぁ、驚かないで聞いてほしいんだけど…おばあちゃんはお前にはまだ言うなって言ってたんだけど」

その先を聞いた時、頭の中が真っ白になりました。次々に聞かされる過去の出来事を聞いてる内によく分からない笑いすらこみ上げてきて、ただただ言葉を失いました。

 

20歳の冬の事でした。